範囲指定ゲーム
絶望が3人の間に下りて来るのを感じていた。


重たい空気に胸が押しつぶされてしまいそうだ。


「な……なんでそんな事を言うの!?」


そう叫んだのは美夏だった。


美夏も目に涙を浮かべ、男を睨み付けている。


「ここまで来たんだ。今度こそ正々堂々とゲームをしたらどうだ?」


男の言葉に3人は誰も何も言わなかった。


確かに、自分たちは今まで仲間を裏切りながら勝ち進んできた。


だけどそれは不正には当たらないはずだ。


話し合いをする時間を設けたのは、この男の方だ。


それでも真子の中には真っ黒な罪悪感が渦巻いていた。


自分たちのせいでクラスメートたちが死んでいったのだという思いが、強くあった。


「あたしは……嫌だ……」


美夏がそう言い、2人を見た。


2人とも美夏を見る。


美夏は涙をこぼしながら口角を上げてほほ笑んだ。



「あたしはこの2人と殺し合うなんて、絶対にしない」


そう言い終わったと同時に、美夏は走って体育館を出た。


「美夏!?」


咄嗟に友香と真子が追いかける。


しかし美夏の足には追いつかない。


美夏はどんどん2人と距離を引き離し、グラウンドの入り口の手前で立ちどまった。
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