範囲指定ゲーム
☆☆☆

宿泊合宿の朝は早い。


生徒たちの体つくりも兼ねているので、朝6時半にはグラウンドに集合することになっていた。


見慣れた全校集会の風景と大して変わらないけれど、それぞれジャージや私服で参加しているという点では少しだけ新鮮だった。


「まだ寒いねぇ」


友香は着ているジャージの上から自分の体を抱きしめてそう言った。


「だよね。先生まだかなぁ」


美夏が手をこすり合わせてそう言った。


ラジオ体操が始まれば少しは体が温まるはずだ。


「2人とも来ないね」


真子が校舎を見てそう呟く。


保険医の先生はともかく、担任の戸川先生は来てもよさそうなのに……。


「あたし、先生を呼びに行ってくるから」


そう言ったのはクラス委員の片山桜(カタヤマ サクラ)だった、


桜は胸まである髪の毛をおさげにして、黒縁メガネをかけている。


典型的なクラス委員の風貌をしていた。


「ごめんね桜、お願いできる?」


友人の瀬崎由奈(セザキ ユナ)にそう言われ、桜は笑顔になる。


「まかせといて」


そう言って校舎へ向けて走り出したのだった。
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