範囲指定ゲーム
☆☆☆

パンッとはじけ飛ぶ音が聞こえてきて、グラウンドの外で美夏が倒れた。


美夏の体は血に塗れ、はじけ飛んだ肉片が空からボトボトと落ちて来る。


「あ……あぁ……」


真子が美夏の血しぶきを見てその場に膝をついた。


「あ~あ。これで残り2人か。ゲームをしても必ず両方死ぬことになるね。どうする?」


校舎から男のそんな声が聞こえてきて、真子はまるでロボットのようにカクカクとした動きで振り向いた。


「な……んで……?」


真子は生まれたての動物のようにゆっくりと立ち上がり、男を見た。


怒りも悲しみも憎しみも、すでに通り越していた。


「なんでこんなことするの!!?」


こんなにも大きな声を出したのは産れて初めてだった。


腹の底から声を上げた。


だけど、そんな事をしてもどうしようもない事くらい、真子はもう理解していた。


真子は男から友香へと視線をうつした。


友香は茫然とした表情で美夏の死体を見つめている。


「あたしは死なないから……」


ヨロヨロと友香に近づいて、その華奢な肩に両手を置いた。


友香がハッと息を飲んでこちらを見る。


その目は怯えていた。


「あたしは……あいつの作った機械なんかでは死なないから!!」


もう一度腹の底からそう叫んで、校舎へ向けて真子は走り出していた。


男の横をすり抜けて、階段を駆け上がる。
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