範囲指定ゲーム
「これだけ集まったら大丈夫じゃないかな?」


両手一杯に小枝を抱えた3人はグランドへと移動した。


するとそこにはクラスの大半の生徒たちの姿があった。


しかし、その中には一真と輝の姿がない。


みんな、体育館から逃げて来たのだ。


「ソウタもいないね……」


小枝を地面に置いて美夏がそう呟いた。


「まさか、まだ体育館の中?」


真子が青ざめてそう言った。


そうかもしれない……。


ソウタは2人の標的になっていたし、簡単には逃げて来られなかったのかもしれない。


助けに行かなきゃ……。


そう思って体育館へ視線を向けた時だった。


校舎の中から2人の人影が見えて友香は足を止めた。


他のクラスメートたちも気がつき、手を止めて視線を向けている。


一真と輝の2人の顔が見えた。


それに、2人に手を借りながらこちらへ向かってくるのは……血まみれの、ソウタだったのだ。


一瞬グラウンドがざわめいた。


ソウタは完全に目を閉じていて、2人が両方から支えて引きずってきている状態なのだ。


「嘘だろ」


「そこまでやるかよ」


コソコソとそんな声が聞こえてくる中、2人はソウタの体をグラウンドへ向けて投げ出すように捨て、校舎へと戻って行ったのだった……。
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