範囲指定ゲーム
☆☆☆

それから10分後。


仲間たちと協力してグラウンドには大きなSOSの文字が出来上がっていた。


「これなら空から見えるね」


真子が笑顔を浮かべてそう言った。


ほんの少しの望みが生まれた瞬間だった。


こんな時だけど、みんなと協力できたことが嬉しく感じられた。


「みんな、知美の体を移動してあげたいと思うんだけど……」


友香はずっと思っていたことを口に出した。


グラウンドに投げ出されたままなんて、さすがに可愛そうだ。


周囲は山。


夜になると野生動物だって出て来るかもしれない。


「そうだよね……」


みゆが知美の体に視線を向けてそう言った。


もうぶりっ子なんてしている場合ではないと気が付いたのか、みゆは人一倍協力してくれている。


「校舎に運ぼうか」


「そうだね。体育館にマットがあったはずだし、それに乗せて行けば大丈夫だよね」


「でも、体育館にはあの2人がいるかもしれないな」
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