先輩!小説の主人公になってください!
彩月は慌てて私の口を押さえた。

「ご‥ごめん‥。えっ‥でも‥キスって‥。それに、この頭痛も‥」

「それは二日酔いだと思うよ。たくさん飲んでたし‥。」

彩月の話を聞いていて、ちょっと涙が出てきた。

「ど‥どうしよう彩月‥。私‥すごく迷惑かけてる。‥みんな怒ってた?」

私はおそるおそる聞いた。

「ちょっと動揺してたけど、怒ってなかったよ。」

「し‥柊人先輩は?」

1番聞きたかったのはここだった。

「あんまり表情の出ない人だから分かんなかったよ。まぁ、声聞いてる感じでは怒ってなさそうだったよ。」

「そ‥そっか‥。」


私‥柊人先輩になんてことを‥。先輩、私のこと絶対にひいてるよね‥。



そんなことを考えていると彩月がまた口を開いた。

「それと伊織。酔った伊織を家まで運んだの私だよ。」

ものすごい笑顔で彩月が言った。


「えっ!?ご‥ごめん、彩月!!何も覚えてなくて!あ‥ありがとうね!」

私は慌てて言った。

「伊織、ちょっと痩せなよー。結構、重たくてさ私今日は筋肉痛なんだ。」

彩月は私の脇腹をつつきながら言った。

「ちょ‥ちょっとくすぐったいてば!アハハ!」


「まぁ、柊人先輩と会ったらちゃんと謝っておきなよ。」

「はーい。すみませんでした。」

私は肩をすくめて謝った。



‥柊人先輩に、ちゃんと謝らなければ‥。

そんなことを思っていると‥

「そうだ。伊織、柊人先輩からリレー小説まわってきたよ。」

「えっ?それって‥柊人先輩からまわってくるんじゃないの?」

私は疑問に思った。なんで‥彩月が持ってるの?


「勘違いしないで伊織。本当は昨日、柊人先輩が渡すつもりだったらしいんだけど、伊織がダウンしちゃったから渡しそびれちゃったんだって。それで昨日、帰るときに頼まれたてわけ。」

笑顔で彩月は答えてくれた。

これには私も少し一安心した。

「そっか‥。よかった‥。」


そんな私の様子を彩月は面白そうに見ていた。
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