不安の滓
 目が覚めると、そこもまた白い部屋だった。
 夢の中の白い部屋との違いは、そこには窓があり、白以外の色もある、ということか。
 私はベッドの上に寝ていた。
 ベッドの傍らには私の手を握りながら女性が涙を浮かべている。
 これは誰だったか?
 ああ、思い出した。これは私の母だ。
 長い間、どれくらいの時間眠っていたのか分からないが。
 眠りすぎて記憶が曖昧になっているようだ。

 母は、私が目覚めたことをしきりに喜んでいる。
< 38 / 66 >

この作品をシェア

pagetop