3度目のFirst Kiss

「ふふっ。」

奈緒子の方を見ると、私の方をじっと見ていた。

「あっ、起きてた?体調はどう?」

「先輩、ご迷惑をお掛けして、本当にすみません。
おかげで、気分はさっきより、随分、良くなりました。」

「そっか、良かった。医務室の野村さんが過労だって言ってたよ。」

「先輩、生田君が迎えに来てくれるんですか?」

私の言ったことは無視して、奈緒子はニヤニヤしながら、私を見ている。

「別に、ついでだよ。私が少し仕事の手伝いをしたから、そのお礼も兼ねてってことでしょ。それより、私、勝手に矢沢さんに連絡しちゃった。もうすぐ、来てくれると思うよ。」

「えっ、裕樹に連絡したんですか!大袈裟ですよ。私、これぐらい平気なのに。」

「何、言ってるの。明日は、ゆっくり休むんだからね。病院にも行ってね。」

「いえ、明日は仕事に行きます!今日の分も取り返さなきゃ。今は、休んでる場合じゃないんですよ。」

奈緒子は食い下がって来る。

「ほらね、そう言うと思った。私一人じゃ奈緒子を止められないと思って、矢沢さんに連絡したの。」

「先輩、ずるいですよ、裕樹を呼び出すなんて。だいたい、彼は、いつも大袈裟に騒ぐんだから。」

それだけ愛されてるんだから、私には羨ましいけど。

「それは、奈緒子のこと、心配してるからでしょう。電話でも、直ぐに飛んでくる勢いだったよ。取り敢えず、パジャマに着替える?スーツは脱がせたんだけど、パジャマを着せてあげられなくて、ごめんね。」

「あっ、先輩に見られちゃった、私の裸・・・。こんなことまでしてもらって、すみません。あの、後ろのクローゼットの中から、Tシャツとパンツを取ってもらっていいですか?」

「はいはい。その代わり、大人しくしてるんだよ。」
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