恋はたい焼き戦争


「もうーー鈴姉ちゃん何してたのー?」





かえで君の元気な声にはっと我に返る。

あんなこともあったなぁ…

今ではすっかりよそよそしさもなくなって本当の姉弟みたい!





「ふふ、ごめんごめん!
さ。学校行こっか!」





今日の鈴姉ちゃん変ーって言うかえで君とマフラーに顔をうずめて暖かそうにするまーくん。


そんな2人に挟まれながら通学路を歩く。


駅まで10分

電車に揺られること20分

そこから歩いて5分


私たちの通う森ノ宮学園高校、略して森学は割りと駅近で周りにショッピングモールもあるけど普通の一般校。


帰りに買い物やウインドウショッピングをしている生徒も多い。





「それじゃーまた後でね!」





階数の違うかえで君と別れて、まーくんと共に教室へ向かう。





「おはよう!」





と声をかける。


割りと仲良い人は多い方だ。

ただ家のことを話せないのは辛い。


一番後ろの真ん中の席に座る。


隣に席はなくて前には海好 あかり (みよし あかり)。


いつも一緒にいるふわっとしているが芯のある女の子だ。





「鈴、おはよ〜」

「おはよう、あかり!」





英単語の小テストの勉強した?などいかにも高校生らしい会話をしてから





「ねぇ鈴、聞いて〜今日の電車で隣に座っていた人が凄く格好良くて…」





そんな恋話も楽しい。

あかりはとにかく面食いというやつで少しでも格好良い人を見つけると報告してくる。





「髪の毛がね、こう…サラッとファッて感じで…格好良かったのー!」





私は隣でずっと勉強してるまーくんと、熱心に話をしてくれるかえで君とで周りなんて見ている暇ないよ…





「おーい、もうチャイム鳴るぞー!急げー!」





担任がそう言った10秒後くらいにチャイムが鳴って朝の会が始まる。


クラス全員の出席を取ると、こう言った。





「今日はな、新しく転入生を紹介する」

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