Drinking Dance
「映画館を出た帰りにですけれども、るみさんと手を繋ぎました」

星崎さんはそう言って、はにかんだように笑った。

「えっ、ああ…」

本当に手を繋いだんだ…。

本当に実行に移したんだ…。

「そ、それで…」

呟いているような声で言った私に、
「最寄りの駅まで手を繋ぎました」

星崎さんは答えてくれた。

「やっぱりいいですね、手を繋ぐのって」

星崎さんは両手を頬に当てて、はあと息を吐いた。

まるで恋に恋をしている乙女のようだと、私は思った。

「それで駅に到着してさよなら…と言う時に」

星崎さんは何故かそこで話を区切った。
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