Drinking Dance
駅に到着すると、
「じゃあ、また明後日に」

星崎さんは手をあげた。

「はい、また」

私は会釈をするように頭を下げた後、星崎さんに向かって手を振りながら改札口へと足を向かわせた。

いつまでも手を振っている星崎さんと改札口へ向かいながら手を振っている私を、周りはどう思っているのだろうか?

恋人同士に見えるのだろうか?

そんなことを胸張って言えるような関係ではないのだけど。

カバンから定期を取り出して、改札に入れた。

改札口を出て振り返ると、星崎さんはまだそこにいた。

私と目があったとたん、星崎さんがまた手を振ったのでその手を振り返した。

ああ、本当に私は彼のことが好きなんだ。

振った手を下ろすと、早足でホームの方へ足を向かわせた。
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