劇団「自作自演」





「キミは……いや、キミたちは幸せ者だ。知らない幸せ。対する僕は不幸者だ。知ってしまった不幸。」



そう静かに言った。



それを遮るかのように敦くんは起き上がり、フェンスを思いっきり蹴った。



「……生徒会長が盗聴なんてしていいのか?」



「だから、『元』だって言ってるじゃないか。今は、2年B組の……。」



「それじゃあ……。」敦くんは食い気味で言った。



「『元!』生徒会長さんよお。アンタは確かに盗聴した。それを認めた。証人もいる。」そう言って私の方を見た。



「このことをバラされてもいいのか? いくら『元!』生徒会長とはいえ、盗聴は立派な犯罪だからなあ。」



敦くんは青山くんに負けないくらい、バカにしたような笑みを浮かべた。



それを青山くんは、受け取って、返した。




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