劇団「自作自演」





そのことは、周りもきっと気付く。



想像上のデモンストレーションでは、上手く行きそうな計画だけど、空気感。その場の空気感までは、想像ではわからない。



私はみんなにわかるようにカッターを取り出さなければならない。



これが舞台だとしたら、「坂本香澄がカッターを取り出しましたよ。」という場面をしっかり観客にわかるように見せなければならない。



その間に敦くんも気付く。気付くから、必然的に身構える。



敦くんが身構えた瞬間から、私は敦くんと対峙しなければならなくなる。



一体一のタイマン。カッターを持っているとはいえ、相手は男だ。



物思いに一刺しなんて、そう都合よくいかない。避けられるかもしれない。腕を取り押さえられるかもしれない。カッターを蹴りあげられるかもしれない。



そして、カッターが私の手から離れた時……。





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