劇団「自作自演」
恋……。
人は今の私のような感情に至った時、そう表現するだろう。
たった2文字。漢字にして1文字、恋。
でも、そこには愛はない。
愛は、一方通行で走行中の車がエンストするところから始まる。
それを助けてくれるか、放っておくかは、通行人であり、恋のターゲットである、敦くん次第なのだ。
前者だとすれば、愛。後者だとすれば、恋を失うと書いて失恋。
敦くんは、きっと私のことなんて見向きも、意識もしていないだろう。
髪の毛を触られたあの時、私は何も感じなかったのだから。
少なくとも、敦くんが乗ったGT400は、風を切って走っていた。
それを通行人である私は、視界に一瞬は捉えたものの、次には、ポッケからスマホを取り出していた。