白い雪が降り積もるように


「篠田冬季です。よろしくお願いいたします」




蓬條家に使用人として入るにあたって私は偽名を使っている。




性別も男と偽り、髪はウィッグを被っていた。




蓬條程の名家であれば、私の名前や性別が偽りのものだとすぐに調べがつくだろうけどその場しのぎ位にはなるはずだ。




「両親は事故で他界……ね。気の毒に」




お前に言われる筋合いはない。




と思いつつ、頭を下げる。




それに気の毒とは言っているが、その表情を見る限り本当にそう思っているとは思えない。




現に蓬條紗良は興味無さそうに私の情報が書かれた資料を見ている。




「それで、高校を辞めて働くと?」




「はい。姉は病弱ですし、妹はまだ中学生ですし、代わりに私が……」




まあ、強ち間違いではない。




お姉ちゃんは元々身体が弱いし、秋葉はまだ中学生だしね。






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