白い雪が降り積もるように


「……もう完全に好きになってるよ、私」





病院について自転車を駐輪場に停めると私は自転車の籠から花束を取り出して、中庭に向かった。





中庭は秋葉が自ら命を絶った場所。




そこには事情を知っている人が置いてくれるのかいつも花束がいくつも置いてあって、私以外も秋葉の死を悼んでくれているのだと感じる。





「秋葉、今日は秋葉が好きだったガーベラの花束だよ」





たくさんある花束に持ってきた花束を紛らせると、手を合わせた。





少しの間手を合わせると、お姉ちゃんの病室に向かった。




病室に入れば、そこにはお姉ちゃんの婚約者の拓実さんがいた。




「いらっしゃい、冬雪ちゃん。話って何かな?」





そう、今日はお姉ちゃんのお見舞いだけが目的で病院に来た訳じゃない。




仕事が忙しい拓実さんを呼び出して、話すことがあったから来たのだ。




その話とは……。





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