白い雪が降り積もるように


「ふーん。なら、その首の傷はその空手か柔道で負ったもの?」




彼の目は真っ直ぐ私の首の傷へ向けられている。




Yシャツの一番上のボタンを閉め、襟をしっかり立てても首の傷は隠れない。





これまで触れられていなかったから気づかれていないと思っていたけど、気付かれていなかったわけではないらしい。





「いや……、これは……」




アンタの母親のせいで負ったんだよ。





それを言ってしまえば、復讐を遂げる前に此処から追放されるのは分かりきってきた。




「これは小さい頃に自転車で転んで……」




咄嗟に思い付いた嘘をいうと、蓬條依良は苦笑いを浮かべる。




「空手とかやってたのに、案外ドジなんだね。一歩間違えば、頸動脈切れてるよね」




そう言うと興味が削がれたように、カウチに寝転がって目を閉じた。





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