白い雪が降り積もるように


「うるせぇよ、ババァの言う通りにしか動けねぇ婿養子が俺に指図すんな!」




蓬條良威は苛立ちと怒りを込めた言葉を親である達也さんに吐き捨てた。




親に対してその口の聞き方は何?




そう言ってやりたかったけど隣で悔しそうに唇を噛む達也さんを見て、言えなかった。




多分、蓬條良威の言うことが否定できないんだと思う。





もう達也さんが止めないと分かると彼は再度紗也様を見て、視線を合わせるようにしゃがんだ。




「なぁ、紗也。俺のこと、好きだろ?」




大好きな兄と同じ顔をしたもう一人の兄。





蓬條依良は大好きな兄だとしても、蓬條良威は紗也様にとって恐怖の対象でしかないように思える。




現に紗也様は涙目で私の後ろに隠れ、震えていた。





その姿を見ると、私は自然と蓬條良威の視線から紗也様を守るように立っていた。






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