【完】『轍─わだち─』

10


その頃。

わざとつばさは仕事を増やした。

とにかく。

現実から逃避するように、撮影と収録に没頭するようになっていたのである。

そのため。

まりあをはじめ仲間たちと会食をする機会も減った。

「まるで高校生みたい」

とマネージャーが言ったほど、二人でファミレスで簡単に済ます…といった夜が増えたのは、いうまでもない。

果たして。

露出が増えたので知名度は上がったが、彬の失踪で仕事が増えたように見えたのか、

──売名したから焼け太りだな。

と言われるほど、非難がましい声もあったのは、まぎれもない現実であった。



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