ほしの、おうじさま
そして私は今、壇上に立つ星野君をうっとりと眺めている。

「只今辞令を受けました、統括部東京本部企画開発部企画課に所属の星野央路と申します」

都内の文化会館にて行われている0to0ホールディングスの入社式。
彼は予想通りというか、筆記試験でトップ、更に面接では大変高評価を得たらしく、社長より代表で辞令を受け、更に挨拶を任されて、今まさにその任務を遂行している所なのだ。
受付した際に渡されたプログラムに、今日辞令を受け取る代表者として彼の名前が印字されていたので、「星野央路」という漢字はしっかり私の中にインプットされた。
ちなみにその他の社員の辞令は、新入社員研修の初日、つまり明日、それぞれの勤務地の長より受け取る手筈になっている。
今日の式には統括部だけではなく、0to0各店舗や各地域の配送センター、セントラルキッチン等に採用された新人が一堂に介しており、その人数は数千人にも及ぶ。
一人一人に辞令を渡していたのでは日が暮れてしまうので、このようなシステムになったらしい。
全国津々浦々、北は北海道南は沖縄まで網羅しているチェーン店の入社式なのだから、それくらいの規模になるのは当然のことである。
そんな中、大役を務めている星野君の勇姿に見惚れていたのだけれど、どうやらそれは私だけではないようで。
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