鈍感ちゃん(君)を攻略せよ!
『斎藤君、まだかな?』
さすがに遅いと思いながら、辺りを見渡してみても、それらしい人は見えなくて思わず肩を落とす。
約束の時間からすでに3時間…。
さすがに、これは遅すぎるよね?
もしかして、斎藤君忘れてるとか?
いやっ、でも、昨日調理室で忘れるなって言ったのは斎藤君だし。
……探して、見ようかな。
このまま待っても来ない気がするし、探してみるのも探検みたいでいいかも!
そう思って、人だかりの中に足を進める。
んー…ここにも居ないね。
いろんな店を回りながら斎藤君を探してみるも、なかなか見つからなくて。
それと同時に、少しだけ嫌な予感が胸をかすめた。
『お、風花〜! 1人で回ってんの?』
その嫌な予感に思わず足を止めると、名前を呼ばれて顔を上げる。
顔を上げてみると、前から手を振りながら近寄ってくる葵に手を振り返した。
『葵! 違うよー、斎藤君探してるの』
やっぱり1人で回ってるように見えるよね。と付け加えて笑うと、私の言葉に、葵が眉間にしわを寄せた。
『……昴?』
『うん、斎藤君』