鈍感ちゃん(君)を攻略せよ!
『……あ、俺も一緒に探してやるから、反対行こうぜ?』
『探してくれるの⁉︎
あ、でも反対はさっき探したよ⁇』
『いや、もしかしたらすれ違ってるかもしれないだろ?』
どこか焦ってるような葵を不思議に思って、葵の顔を覗き込む。
葵、なんかおかしいよね?
『葵、どうしたの?』
『な、何がっ? 普通だけど』
……完全に噛んだよね? 今。
しかも、私の言葉で絶対に動揺したよね?
『葵⁇ 何隠して……』
るの…? と続こうとした私の言葉は、すぐそこの教室から聞こえてきた楽しそうな高い声に遮られる。
今の声って、飛鳥ちゃんだよね?
聞き慣れた飛鳥ちゃんの声のはずなのに、どこか胸騒ぎがして、店の中を覗き込む。
『昴、あれ取れる⁇』
『……多分』
見た瞬間、足が地面から動かなくなって。
思わず、目の前に見える光景を凝視してしまった。