鈍感ちゃん(君)を攻略せよ!
私、何かしたかな…?
ずっと待ってたんだけどなぁ…。
そんなことだけが、ずっと頭の中をぐるぐると回って。
楽しそうに笑う2人を見て、やっぱりお似合いだな…なんて思ってしまった。
『次行こう⁇』
『……ああ』
あ、振り返る…とか、頭によぎった瞬間にはもう遅く。
振り返った斎藤君と目があった瞬間、動かなかった足が嘘のように動いて、急いでその場から立ち去る。
走って、走って。
ザワザワと楽しそうな声とか、すべてがどこか遠くに聞こえて。
さっきの楽しそうな2人の光景が頭から離れなくて。
振り払うように必死に走って、何も考えずに屋上まで辿り着いていた。
……そうだよ。
私、なんで浮かれてたの。
斎藤君は、飛鳥ちゃんが好きなんだから。
飛鳥ちゃんに誘われたら、行かないわけ無いじゃ無い。
勝手に期待して、勝手に傷つくとか。
馬鹿みたいで笑える。