鈍感ちゃん(君)を攻略せよ!
私がため息を漏らして、フェンスに寄りかかりながら座り込んだのと同時に。
屋上のドアが開いた音がして、顔を上げる。
『……風花』
遠慮気味に声をかけてから近づいてきた葵に、力なく笑いかける。
ごめん、葵。
今は、笑う力も残って無いや…。
『……ごめん。
俺、あの2人が居るって分かってたのに』
『やっぱり、そうだったんだ?
……ありがと、葵』
座り込んでいた私の隣に座った葵が、私の後頭部に手を回した。
……え? 手を回したって…⁉︎
『泣きたいなら、泣いても良いから。
溜め込むのが1番ダメなやつ』
わざと明るくそう言ってくれた葵に、押し込んでいた涙が目に溜まっていく。
『誰もいないし。
俺、見ないから』
強がんなくても良いだろ、と言って笑った葵に、抑えがきかなくなって。
子供みたいに、思いっきり声を上げて泣いた。