鈍感ちゃん(君)を攻略せよ!
『……落ち着いた?』
暫く、私の頭をあやすようになでていた葵に、ありがとうと笑いかける。
1人だったら、今頃家に帰って寂しく泣いてただろうし。
葵がいてくれて良かった…。
『風花、この後暇?』
『うん、暇だよ?』
昨日は特別、斎藤君と遊ぶ以外に用事なかったし。
この後結構時間空いちゃうんだよね…。
『ならさ、その時間、俺にくれない?』
『……ん?』
『俺と回ってよ。文化祭』
『良いのッ⁉︎』
私に笑いかけながら立ち上がった葵の言葉に、思わず聞き返してしまう。
『当たり前。じゃあ、行くか!』
『……うんっ、ありがとう‼︎』
座っていた私に、突然手を出してきた葵の手を見て首をかしげる。
そんな私を見てニヤッと口角をあげた葵が私の手をつかんで上に引き上げた。