libido
「知ってた?実は君と結婚を考えてたって」

こっそり、むせないかなと期待したけれど、隣の友人はあっさりと頷いた。

「・・・」

それなのに、春に違う人と結婚するって いうの?

「けどする気は無かったよ。俺はね」
「性格悪い」
「俺の年収じゃ君の趣味が減るよ。共働きは嫌なんだろ?」
「・・・」

ここで、それもそうかと納得してしまう私は人としてどうなんだろうか。

今日のアペタイザーのチーズはマスカルポーネだった。

とても美味しい。

あの日から一ヶ月、驚く程傷は癒えていない。

「どうしたら良いのかわからないわ」
「アサギがいる」
「・・・」

癒えないのはきっとこの友人のせいでもある。
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