放課後、ずっと君のそばで。


「うわぁぁぁぁぁぁ!」


私は、空を見上げて泣いた。


顔を隠すこともせず。


海から流れてきた風が、私の涙を遠くに運んで行く。


潮風に吹かれた涙は、いつも以上にしょっぱく感じた。


後悔、してる。


今までたくさん時間を無駄にしてきた。


だけど、まだチャンスはある。


私には、敗者復活があるのに。


諦めていた時間がもったいない。


嫌いになりたくても嫌いになれない音楽を、簡単に捨てたらいけないよね。


それなのに、私は何をウジウジ悩んでいたんだろう。


音楽を始めた頃の幼い私のように、もう一度全身で音楽を楽しんでみよう。


あの頃は、トランペットをただ握るだけで幸せだった。


初心を取り戻そう。


そうしたらきっと、私に音楽が戻ってきてくれるかもしれない。


私は夜空を見上げたまま、鼻水をすすって涙を拭った。


キレイだ。

いくつもの星が、一生懸命自分を主張して瞬いている。


私の視界の隅で、コウちゃんも夜空を見上げていた。


「コウちゃん、ありがとう」


小さく言うと、コウちゃんは鼻で笑った。


本当にありがとう。


前に進むきっかけを作ってくれて。


私もあの星のように、一生懸命光ってみよう。



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