放課後、ずっと君のそばで。
まだ薄暗いけれど、超満員の会場が見える。
私は目を閉じて深呼吸をした。
スランプに陥り、コンクールメンバーを決めるオーディションに落ちて、もうトランペットはやめるべきだと思った。
小学生から続けてきたトランペットを手放すべきだって。
だけど、それが出来なかった。
その時、どれだけ自分が音楽を好きなのかって気づくことができたんだよね。
たくさんの人に支えられて、本当の自分を見つけることが出来たんだ。
そして私は今、九州大会の、このステージに立っている。
会場に、トランペットのどこまでも貫くような音色を響かせることができる。
それを想像するだけで、興奮で鳥肌が立ってきた。
「白石」
横から小声で立花くんに呼ばれ、私は目を開けて耳だけを立花くんに傾けた。
「この前の返事、NOってことでいい?」
「......え?」