黄金の唄姫と守護騎士はセカイに愛を謳う

私は自分の瞳を隠すように、そっと目を伏せた。

訊かれたって答えられない。私だって、自分がなぜこんな色の瞳をしているのかわからないのに。

存在しないはずの色の瞳。

この黄金の瞳のせいで、色々な人に疎まれてきた。

忌々しい瞳。

理由がわかるのなら、私が教えてもらいたかった。

ただ、周りの者たちはそんな私の心境なんてわかってくれるはずもない。

クワオアが1度口にしたことで、遠慮していたようだった他の面々も私の瞳を覗き込んでくる。

好奇の目に晒され、自分の身体が微かに、本当に微かに震えるのを抑え込みながら、その一方で私はどこか冷静に状況を判断していた。

・・・こんなときの対処法はわかっている。小さい時から、教えこまれてきたから。

「―――っ」

「え、どうしたの、大丈夫?」

目を閉じ顔を伏せ、いかにも泣きそうに嗚咽を漏らすのだ。表情が変わらないので、顔を見られないように。

泣いている少女に言葉が投げかけられるほど冷酷な人物はここにはいない。

それに、仮にも会談の場だ。他国の姫を泣かせてしまえば、立場はぐっと悪くなる。

つまり、こうすることで誰ももうこの場では言及できないのだ。

何も、初めてのことではない。今までも瞳について言及される度、同じことをして誤魔化してきた。


・・・ああ、私も他人のことなんて言えないな。私の方が余程卑怯で小賢しい。



結局、私の瞳の話はうやむやになり、そのままどことなく心地悪い雰囲気の中、内容の無い話を少しだけしただけで会談は終わった。

ほらね、私を引っ張り出してきたって何もいいことなんて、なかったでしょう?

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