GREATEST JADE~翡翠の瞳に守られて~
そう言った律の瞳の色がいつの間にか深紅に変わっていて、私は大きく眼を見開いた。

恐怖で身体が動かない。

声も、出ない。

私、殺される……!

清雪が私を見て唇を引き上げた。

「この日を長く待っていた。おお、偉大なる血よ……」

上唇から見える二つの牙、赤い瞳。

全身がガタガタと震えて力が抜けて、私は今にも崩れてしまいそうだった。

これは、現実だ。

私は殺される!!血を……血を吸われる……!

その時、ガシャン!と何かを叩き付けたような激しい音が間近で響いた。

「きゃああっ!」
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