Sweet Hell

席に戻ると様子のおかしい私に気づいたのか
秋葉さんが私に声をかけてきた。

「どうしたんですか？木下さん。顔、赤いですよ？」

「え！？」

「あ、本当だー。何かあったの？」とみほにも言われて
私は誤魔化すように「何もないよ！」と言った。

すると営業先から帰ってきた本郷さんが席に着き、
「お疲れ様です。只今戻りました」とみんなに報告をした。

「あ、お疲れ様です〜」と可愛い声を出して秋葉さんが彼の労を労った。
その二人の光景、笑顔でやり取りする二人を見ても私は何も感じなかった。
前は嫉妬や嫌悪感を感じていたはずなのに自分に余裕が出来たみたいに
彼らを見ても何も感じなくなっていた。

「もう、いちゃつくなら他でやってよ〜」とみほが茶化すと
「いちゃついてなんかないですよ！」と本郷さんが焦った感じで応えた。
私は思わず素で噴き出してしまうくらい、彼に何も魅力さえ感じなくなっていた。

この心境の変化の裏にはやっぱりアメリカ人の彼の存在があった。

私は、またサイトを開いたけど彼からのメッセージはなかった。
少し落ち込んだけれども取り敢えず仕事に集中するため
私は夜まで携帯を見ずにいた。