Sweet Hell
彼とメッセージのやり取りをしてから
私はアメリカとの時差を考えるようになった。

「ねぇ、急にどうしたの?」

「なんでもない。あ、あのさー私って美しいかな?」

「はぁ!???何突然・・・」

急な質問にみほは驚いたまま訳が分からない様子だったが
私はエスプレッソを一口啜ると思ってることを話し始めた。

「私はさ、正直自分で自分のこと可愛いって思ったこと一度もないんだ。
今でも思ってないし。でも、最近ある人から君は美しいって言われて
ちょっと動揺してるの。私って美しいのかな?」

「美しいなんて褒め言葉、あんま聞かないけど・・・。
からかわれたんじゃないの?誰、それ」と
みほは、笑いながら聞き返した。

「今は言えない・・・」

「そっ」
みほは私の誤魔化しに気付いたのかそれ以上は聞いてこなかったけど
彼女は真剣な顔で私の方を見ると「でも、楓は美人系だと思うよ」と言ってきた。

「え!?」
思いがけないセリフに驚いて私は思わず声を上げた。

「楓は切れ長の目してるし雰囲気はなんかクールビューティーって言うか、
私は楓のこと美人だと思ってるよ」

「え?でも全部特徴のない顔だし」

「整ってるってことでしょ。まぁ、何があったか知らないけど
彼氏出来たら真っ先に私に教えてね〜」

そう言うと彼女は立ち上がり、事務所に戻ると言って
一足先にラウンジを出た。

私はエスプレッソを一口啜ると窓ガラスに映る自分の顔を眺めた。

「こういう顔がアメリカ人には、うけるのかしら?」

そう呟くと私はまたエスプレッソを啜った。
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