Sweet Hell

「彼氏さんからですか？」

「え？」

藪から棒に質問されて私は訳が判らなかった。

「木下さん、最近良く携帯を見ているので
彼氏さんでもいるのかなぁと思いまして」

「あ、はぁ・・・」

まさか、私の行動を把握されてたなんて。
どう応えていいか分からず私は戸惑っていると
彼がそのことに気づいたのか「あ、変なこと聞いてすいません」と謝ってきた。

「あ、いえ、別に」と素っ気ない言葉しか言えない私に
「最近、携帯を良く見てる木下さんの顔が可愛かったので思わず聞いてしまいました」と
彼ははにかみながら応えた。

さりげなく可愛いと言われた気がしたが私は気にすることなく
「秋葉さんと結婚しないんですか？」と話題を変えた。

彼は少し驚いた表情をしたが「私はまだ仕事を頑張りたいので
正直結婚願望はそこまでないんですよ」と苦笑いしながら応えた。

「でも、女性は結婚に憧れるんですよ。
秋葉さんのためにも早くプロポーズした方が良いんじゃないんですか？」と女性目線でアドバイスをすると

「じゃあ、木下さんもそうなんですか？」と彼が聞いてきた。

「え？」

「結婚に憧れてるんですか？早く結婚したいって思ってるんですか？」

本郷さんが真剣な顔をしてそう聞いてきた。

その問いに対して私はどうしていいか分からず
フリーズしてしまった。