Sweet Hell
”妹のキャサリンだ”

すると彼女は”Hi!”と笑顔で言った。
私は、彼女と握手をしながら
本当に大人びてて綺麗な人だなと思った。

すると父親の方が”美しい人だね”と言ってきた。
私のことだと思い照れながらお礼を言うと
母親の方も”本当にそうだわ!”と言ってきた。

ジャスティンは”な、そうだろ?”って感じで
誇らしげであった。
まぁ、あなたの彼女ではないけどね。

すると母親の方が”ちょっとキャサリンに似てるわね”と言ってきた。
父親も私とキャサリンを交互に見ると
”確かに・・・並んでるとまるで美人姉妹だ。はっはっは”と愉快そうだった。

私とキャサリンはお互い目が合うと
彼女は肩を竦め、両手を少し上げ首を傾げた。
ジャスティンも”まぁ、そう言われればそうだけどーメープルの方が綺麗だよ”と言って笑った。
私は、そんなことない!という意味を込めて”No,no,no!!"と否定した。
彼の一言が本心なんだか、私への気遣いなんだか、冗談なんだか分からなかったけど
キャサリンにジャスティンのバカ!みたいな感じで言われ叩かれながら
「ははは!キャサリンも綺麗だよ」とフォローしているところを見ると
冗談だったんだなぁと思う。

ところで、さっきからその様子を傍で見てる背の低い1人の中年女性がいた。
ジャスティンは彼女の存在を思い出したかのように私を紹介したけど
彼の英語がよく聞き取れず私が首を傾げていると
その中年女性から私に説明をしてきた。

「今回、カーターファミリーの浅草案内人となりました
塚本と申します。」

「あぁ、案内人!」

「ジャスティン様のおっしゃる通りお父様が浅草の伝統を含め、
詳しいことが知りたいとのことでしたので私は今日1日だけ
彼らの観光にお付き合い頂くこととなりました」

「は、はぁ。そうなんですね」

なんだデートじゃないのか。ファミリーと一緒に浅草観光かと
ちょっとショックを受けたけど
逆に日本人の通訳者(本当は案内人だけど)がいると心強いと思い
頭を切り替え「よろしくお願いします」と応えた。

彼女はお辞儀をすると「では参りましょう!」と言って
カーター夫妻の方を向いた。

”じゃぁ、また後でね!”とジャスティンが両親に向かって声をかけた。

ん?see you laterってどういうこと?

すると彼の両親は息子を抱き締めると”楽しんできてね”と声をかけた。
ジャスティンは妹にも”じゃ、またな”と言うと妹の頭にキスをした。
あー妹にもキスするんだと他人事のようにその光景を見ていたら
ジャスティンは手を振り、彼らは私たち二人を残して行ってしまった。

< 32 / 86 >

この作品をシェア

pagetop