Sweet Hell

数日経ったある日の午後だった。
本郷さんと秋葉さんがいないことに気づいた私は
隣にいるみほに尋ねた。

「ねぇ、本郷さんはともかくとして秋葉さんちょっと席外し過ぎじゃない？」

すると、みほは驚くこともなく「あぁ、2人で逢いびきでもしてるんじゃない？」と応えた。

「逢いびきって・・・どうゆうことよ」

「知らないの？2人付き合い始めたのよ」

「え！？いつから！？」

「3日前かしら。なんか先越されちゃったよねー。
他の女性社員の人達もみんな本郷さんを狙ってたからショックを受けてたよ。
やっぱ若くて可愛い子には勝てないかって」

「え、そうなの？」

「そうよ。ゴールインも近いんじゃない？
あー私もお見合いでもしようかしらー」

そう言ってみほとの会話は途切れてしまったが
そんなことよりも私は2人が付き合い始めたという事実に内心ショックを隠せなかった。

すると、数十分も席を外していた秋葉さんが席に戻ってきた。

心なしか彼女の頬が紅潮しているように思えた。

「秋葉さん、今までどこに行ってたの？なかなか戻らないから
ちょっと心配だったのよ」

そう私が声をかけると彼女は「あぁ、すいません・・・」と言って
申し訳なさそうな感じで謝っていたが口が笑っていた。

それに気づいたみほが「なにかあったの？」と興味深そうに聞くと
私に聞こえないようにみほに小声で何かを言ったようだった。

だけど驚いたみほが「えー！？チューーーぅ！？」と大きな声で反応したので
私にも何があったのか分かってしまった。

私は何も反応せずパソコンに向かって仕事をしていたが
内心穏やかではなかった。