Sweet Hell
せっかく買ったのに無駄だったな。
今更渡されたところで大介さんも困ると思うし。
どこかで捨てようかなぁ。

そうして考えている間に食事は
最後のデザートを残すだけになった。

「美味しいな、デザート」

「うん、そうだね」

「ん?どうした?なんか元気ないけど」

「ううん。なんでもない。ところで渡したい物があったんじゃないの?」

「あぁ、ここでは止めとくよ。そういやさ、BAR行かないか?」

「BAR?」

「あぁ、そのホテルにBARがあるんだ。前行ったことあるけど
お洒落だし、カップル用のソファがあって落ち着けるからそこに行こう」

「うん。わかった」

私たちはイタリアンの店を後にすると坂の上にあるホテルに向かって
歩き始めた。

するとホテルに行く途中で道でうずくまるホームレスを見かけた。

「早く行こう」

大介さんは私を思いやるように手を繋ぐと
早歩きでそこを通り過ぎようとしていた。

私は「ちょっと待って」と言って彼を制すると
「せっかくのクリスマスなのに可哀想じゃない。
なんか恵んでくる」と言ってそのホームレスに近づいた。

「おい!」

私はホームレスの前に立つと鞄から緑色の包装紙で包まれたプレゼントを
ホームレスに差し出した。

「はい、これ」

「え?」

「私からのプレゼント」

「え?」

「食べ物じゃないけど新品だから質屋で売れると思う。
それで金にして」

「あ、ありがとうございます」

ホームレスは有難く、そのプレゼントを受け取った。
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