幼馴染はどこまでも俺様過保護

寝不足の理由なんて話せやしない。だってその理由に至るまでの経緯を話さなくてはならなくなる。もし、私がフリマに出店してる事が知れたら、副業は禁止してるだとか、そんな暇があるなら、語学を勉強しろと言われるに決まってる。

今の私は海外の取引に直接関わる事はないが、それでも本社で総務全般に関わっている私は、社長や副社長の秘書代わりもしている。その為、海外からの電話に対応しなくてはいけない事が多々ある。

何とか今迄は問題なくきていたが、これから先どうなるか分からない。それに以前隼翔に『俺が会社を継ぐ時までに英会話のスキルだけは上げておけ』と言われた事がある。『海外にも同伴させるからな』とも言われていた。

隼翔の秘書として恥ずかしくない様にしておけと言う事だろう。だから、そんなに暇が有るなら、勉強しろと言われかねない。それに、社長である優しいおじ様がフリマの事を知れば、生活が大変なのかと心配もされる。勿論、生活が苦しい訳ではない。お給料だって十分貰っている。だから、本当の事は話せない。

「えーと…深夜放送を…」

「お前の家には、テレビもラジオも無いだろ!?」

ですね…

「…スマホ!スマホで観てるの!だからちょっと遅くまで起きてて…ホントごめん!」

私は頭を下げ、上目遣いにチラッと隼翔の様子を伺うと、隼翔は腕組みをしてこちらをじっと見ている。

やっぱり疑ってる…よね?

「なにか困ってる事が有るなら」

「大丈夫!なにも困ってる事なんてないからホントごめん!」

「お前は嘘が下手だからな!?まぁ言いたくないなら、今は聞かない。だが、次は無いからな!?」

「はい…気を付けます…」

「ところで、急だが明後日から2週間ほどインドに行って来る。スケジュールの変更と来週の井上様との会食は蒼海が行ってくれるか?」

「えっー私が!?」

「会食と言っても井上様のお宅で食事を御馳走になって話を聞いて来ればいいだけだ」





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