幼馴染はどこまでも俺様過保護
朝礼の後、給湯室で淹れたコーヒーを持って隼翔の部屋をノックし、ドアを開けると隼翔は電話を掛けていた。海外のディーラーと話しているのだろう。隼翔は目でソファーに座れと言う。私はコーヒーをテーブルに置きソファーに座って待っていた。
言葉は分からないけど、ルビーと聞こえたからインドのディーラーだろう。今、インドにはバイヤーの坂本さんが行ってるはず。坂本さんどうかしたのかな…
隼翔は電話を終えると椅子から立ち上がり、私の向かいのソファーに座ると溜息を付いた。
「コーヒー持って来たけど、冷めちゃったね?淹れなおしてくるね」
私がカップへ手を伸ばそうとすると「このままで良い」と言って隼翔はカップを持つとジロッと私を見て、コーヒーを一口飲みカップを置いた。
あぁ、やっぱり怒ってる?朝礼でボーとして何も聞いてないなんてあり得ないよね…大切な連絡事項があっただろうに… ごめん。
いつも朝礼ではその日の予定の確認や商品の情報が必ず伝えられる。お客様からの特注品に関してもバイヤーの買い付け状況を確認しておかなくてはならない。もし、バイヤーがおもうような石を買い付け出来なければ、お客様の要望には応えられない。もし、そうなった時は少しでも早くお客様へ連絡を取らなくてはいけないのだ。
「蒼海?」
「ごめんなさい!本当にごめんなさい…二度と朝礼でボーとしたりしないから」
「当たり前だ!!しょっちゅうボーとして貰っては困る!」
はい…ごめんなさい。気を付けます。と頭を下げた。
「それで、何があった?蒼海らしくないだろ?朝礼でボーとしてるなんて?」
「な、何でも無いよ…ちょっと寝不足でボーとしてただけ」
「だから!その寝不足の理由を言えと言ってるんだ!!」