鷹なし、ことり。



「はああああああああああああ!!!!!!!!!!!???」




「うっせ…お前な…同じ受験会場にいただろうが」


知りませんよねぇ!!?


だって去年の秋頃に隣の街の高校に電車で行きたいなぁって言ってた…!!



え?なんで?は?え?




混乱する私にタカは相当苛立っていた


「だぁああ!!!鬱陶しい!!早く行くぞ!!!」

やつはいきなり私の手を掴み、走り始めた


「なっ!?ちょ、タカ!!離してよ!走らなくてもよくない!?」



男女の力の差には流石に抗えないので私は仕方なく走りながら反論した

完全に流されてます、コイツごときに悔しいけれども。


コイツのことだから、私の反論に
『うるせえな。黙ってろ』とでも言うと思ったんだ。






でも。




「ははっ、こっちのが楽しいじゃん!」



いつもの意地悪な笑みでもなく、人を馬鹿にするような笑みでもなく、純粋な笑顔でそう言い放ったのだ。





タカのこんなに純粋な笑顔は久しぶりに見たかもしれない

…最近、疲れてたもんね





なんだよ、私。嬉しいとか
…何考えてんだろう。

相手はコイツだよ?



いや!仮にもコイツは幼なじみだからね。
多少の情があってもおかしくはないよね



…なんてちょっと意地を張ってみたり。






でもやっぱり楽しくなってきたので


「…へへ、上等!勝負だよタカ!」



思いっきり笑顔でピースを見舞ってやった



「っ…」



タカは何故か顔を赤くした


__スルリ。



タカの手に力がなくなって手が抜けたので、何故か驚いたような顔をして呆気にとられてる隙を突いてタカの顔を両手で挟んだ


「間抜け顔!」


先に学校着いた方が勝ちね!
そう言いながら私は思いっきりダッシュした


驚きすぎて反応が遅れたタカ。この勝負私の勝ちだな。






そして私は更にスピードをあげた




「いつもの二割増で不細工になってるぞざまあみろ!!!!負けたらクレープ奢りね!!」




…大声で叫びながら。



「おいてめえことりいい!!!!」

やっと戻ってきたね、タカ
おかえり(笑)


「呼びかけの言葉は1回でいいですー!」




「卑怯だぞことりーーー!!!!しかもてめえ今絶対俺のこと馬鹿にしただろ心の中で!!」

なぜわかったし

うえっ、しかも結構早いぞ!?



流石サッカー部のエースは違います…なんて言ってる場合じゃないかも…!?


対して足は早くない私、このままじゃ負ける〜!!!



いやいや、絶対負けてやらないんだからね!






何ヶ月ぶりかのダッシュにいい気になりながら私たちは学校への道を急いだ




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