ワケありオンナとワケあり男子の共同生活
「あゆさん貸して」
「あっ!」
あきくんは言葉を言い終わる前にわたしが持っていたスマホを取った。そして、彼の右手の親指がスマホの上であらゆる方向に動いた。
「これでよしっと」
そう言ったと同時にわたしに画面を見せた。
《どうしても会って話したいことがあります。会える日があったら教えてください》
送信されたメッセージが表示されていた。
自分でも情けないくらい小さな声で"あぁ……"となんともいえない声が漏れていた。
メッセージが表示された画面を開いたまま、あきくんはスマホを差し出してきた。画面から目を逸らせないまま、それを受け取った。さっきより少し熱を持っている。
頭の後ろに手を置いてあきくんは口を開いた。
「勝手に送ってごめん。おれ、早くあゆさんどうにかしてあげたくて」
わたしに向けていた柔らかい表情から一転して、少し表情が固くなった。視線もわたしの目から逸れた。
「だって、子供おろして、別れて、仕事まで辞めてるんだよ。……あゆさんばかり我慢してるのがなんか許せなくて」