ワケありオンナとワケあり男子の共同生活
再会





「ふぅー」

深呼吸をした。肩が大きく上がって、そして下がった。

久しぶりに前の職場周辺に来た。この公園なんて今まで入ったこともない。初めてきた。

ブランコと滑り台だけがある本当に小さな公園。日が暮れてきてるからそれらの影が無駄に長く伸びている。地面は気持ち程度の草が生えているけど、ブランコの下と滑り台の到着部分の地面は草がなくてツルツル。土だけだ。

自分の手の甲を鼻に近づけると桜の香りがする。ここに来る前にあきくんから誕生日にもらったハンドクリームをつけてきた。

これを付けたらあきくんがそばにいるって実感できる。

あきくんにはスーパーで時間を潰してほしいと伝えた。さすがにこの小さな公園で隠れていたら不自然だもん。

今日は仕事中もソワソワして落ち着かなかった。早く時間が来て欲しいような、欲しくないような。ずっと気持ちが葛藤しててしんどかった。

もちろん今もしんどい。

会うのが怖い。でも、それ以前に本当に彼は来てくれるのだろうか。


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