ワケありオンナとワケあり男子の共同生活
こういう曖昧な関係……いわゆるセフレを2人作ったのには理由がある。
──本気にならないため。
1人に絞ったら、もしかしたら本気になってのめり込んでしまうかもしれない。
それが怖くて、カオルと出会った後にヒデキさんと出会った。
意識が1人じゃなくて、2人になることによって感情を分散出来る。
人を好きになるのはしんどい。
袋から買ってきたビールの缶を取り出して机の上に並べる。
ヒデキさんがリモコンを手に取り、テレビの電源を入れる。
「よし、飲むか」
彼のその言葉を合図にプシューっとプルタブを引いて開ける。
「お疲れ様」
缶を差し出されたので、コンっと自分の缶ビールを当てる。
「お仕事お疲れ様です」
昔はチューハイしか飲めなかったのにいつの間にかビールを飲めるようになっていた。
年を重ねている証拠。
ヒデキさんには砕けた喋り方で話せないでいる。
カオルも年上って言ったら年上なんだけど、更に上の年齢のヒデキさんにはなんだか敬語を使わないと落ち着かない。