ワケありオンナとワケあり男子の共同生活
「わー!相澤!お前彼女出来たのか?」
そうだ、あきくんの名字は相澤だった。
普段名字で呼ばないから"相澤"という言葉がしっくり来ない。
多分あきくんも、わたしの"菊地"という名字の響きがしっくり来ないと思う。
出会った時からお互いに"あきくん"と"あゆさん"だもん。
「残念ながら彼女ではないんだよな。今行ってる講義で仲良くなってさ」
あきくんの砕けた喋り方を聞いたのは初めてかもしれない。
彼のバイト先は講習が行われている会場の最寄り駅と、わたしの自宅の最寄り駅の中間にある駅。
チェーン店の牛丼屋はカウンターと少しのテーブル席。
わたしとあきくんはテーブル席に座った。
カウンター席じゃないのにも関わらず、あきくんのバイト仲間が入れ代わり立ち代わりこの席を訪れる。
"お姉さんおいくつですか?"
"お仕事何されてたんですか?"
など色々なことを質問された。
「じゃあ、お姉さん、また注文決まったらベルで呼んで下さいね」
あきくんのバイト仲間の1人の男の子がそう言い、席を離れる。