ワケありオンナとワケあり男子の共同生活


手を頭の後ろに置くのをよく見る気がする。

あきくんの癖かもしれない。

「進学辞めて、就職先探さなきゃいけなくなってっていうのがつい最近で、とりあえず高卒でも就職先がいくつもある仕事って介護かなって思って。それで今の講習受けに行ったんです」

高卒でも、っていうか中卒でも男の人なら工事現場とかそういう仕事があるイメージ。

でも、確かに少し細めの体型のあきくんがそういう仕事をするのは想像が出来ない。

「あきくん、苦労してるんだね」

18歳でそういう人もいるんだね。

わたしは両親と3人姉妹の5人家族。

なんとなく1人暮らししてみたくて、就職して家を出ただけの女だ。

「いえ、おれより苦労している人なんて世の中いっぱいいますよ。確かに進学出来ないってなった時かなり落ち込みましたけど、今はもう前を向かなきゃって」

そうあきくんが言ったタイミングで、

「はい、牛丼とチーズ牛丼です」

注文したものが来た。

それぞれ受け取り、牛肉がのったどんぶりに箸の先が触れる。


< 35 / 181 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop