ワケありオンナとワケあり男子の共同生活


急に就職っていうカタチになったのだから仕方ないと思うけど……あきくんは根がとても真面目みたいね。

「じゃあ、就職して家が決まるまでうちに来る?」

なーんて、冗談ここで言ったらいけないか。

「まあ、冗談──」
「本当ですか?」

わたしの声に被るようにあきくんが言った。

え?

「いや、その、これは、冗談──」
「就職するまででいいので!お願いできますか?」

またもやわたしの声に被せて言う。

あれ、これはまずいかも。

本当に軽い気持ちで言ってしまったことを後悔した。

パチンッと両手を合わせて頭を下げるあきくん。

……ここまで言われると断れない、よね?

えっと、就職するまでってことは1ヵ月もないんだよね。

それだったら、まだ。

っていやいや、カオルが家に来る時どうするの。

表情には出さないようにしてるけど、頭の中はパニック状態。

「やっぱり無理ですよね」

いつも笑顔なあきくんだから、こういう時も笑顔を崩さない。

口は笑っているけど、目は悲しそう。

あきくんのこんな表情見たことない。

ああ、もうそんな表情しないでよ……。


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