隣の部屋にフランス人
さよなら王子様

*

聞けば王子のお父さんが倒れたのは
クリスマス前のことで、
王子は私に秘密にしながら
学校の手続きや、私の両親と帰国日を決めるなど
準備を進めていたらしい。

私に秘密にしていたのは、
ぎりぎりまで悲しい時間を作りたくなかったからだって。

また、私だけ知らなかったんじゃん。
王子が来た時もそうだったし…
本当に私の両親は隠し事するなー。


王子の帰国を聞かされた次の日、私は
部屋に閉じこもってずっと泣いていた。

この私が、こんなに泣くなんて
今までなかったかもしれない。

いつもなんだかんだで冷めてて、
涙が出て欲しい時でも泣けなかった私が
王子が帰国すると聞いて、
体の水分がなくなるんじゃないかと思うくらい涙が出た。

王子は可愛くて、かっこよくて、時々天然で、
時々面倒くさくて…
いつも隣の部屋にいたのに、もういなくなっちゃうんだ…

朝、シャワーを浴びている王子を
気にして、洗顔を待ったり、
夜九時に寝る王子に気を遣って
静かにドアを閉めたりしなくなるんだ…

いつも王子のためにやってる何気ない行動を
しなくなるんだ、私…

寂しいな…寂しいよ…

王子はというと、私にあまり話しかけることなく
黙々と帰国の準備をしていた。

王子もきっと悲しいんだろうな…
< 100 / 104 >

この作品をシェア

pagetop