隣の部屋にフランス人


空港に着くと、本当に王子が帰ってしまうという
実感が湧いてきて、気持ちはさらに沈んだ。

王子はチェックインを済ませ、荷物を預けると、
私とお母さんに一回ずつハグをして、ゲートへと向かっていった。

私たちも、ゲートの入口までついていった。

「絶対また会えるよね?」

私は王子の手を握った。

「もちろん…会える」

王子も私の手を握り返した。

「俺の愛は強いから、遠くにいても
俺たちは上手くいくよ」

だめだ!涙が出そう!
泣くな私!我慢我慢!

「俺の体はフランスに帰るけど、
心はいつもリリーの横にいるよ」

「……っ」

ううう!もう涙が出ちゃう…
だめ、だめ!
最後は笑顔でさよならしたいんだもん!

「愛してるよ、リリー」

王子は私のことを抱きしめた。

周りにたくさんの人がいたのに、
もうそんなのどうでもよくて、
私も王子を強く抱きしめた。

世界は私たち二人だけのよう…

そして、王子は今までで一番甘くて、暖かくて
愛のこもったキスをした。

甘い彼のキスに
心も体も全部とろけてしまいそうなくらい
幸せで、満たされた気持ちになっていく…

「心の底から愛してるよ、リリー」
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