隣の部屋にフランス人

「あれ、これ、ルイの?」

こたつの中で、何かが足に当たったから、
取り出してみれば、
それは、侍の漫画だった。

「あー、それ夕方、ルイ君が読んでたわよ」

もー、何で漫画なんか温めてんのよ。
意味わからん。

まだ、八時だし寝てないよね?
部屋まで届けてあげよう。

王子の部屋は、まだ電気が付いていた。

コンコン。
ガチャ。
「ルイ―、これ、忘れて…キャー――!!」

「あ、リリー!どうしたの?」

部屋のドアを開けると、
王子は着替え中で、上半身裸だった。

しかし、こんな悲鳴をあげたのは
ただ単に王子が裸だったからではない!

「な、な、何その刺青!!!!」

王子の背中には刀の絵と『侍』という文字の
刺青が―――!

「あー、これ?かっけーだろ?」

ひ、ひえーー!
そういえば、王子の生背中なんて
見たことがなかったから
気付かなかったのも当然だよね?

こんないかつい刺青がしてあったなんて!

「ちょ、ルイ…それはまずいよ…」

「うん?俺、タトゥー大好きなんだ」

私は嫌いですけど、今はそんなことより、
別の問題があるよ。

「ねぇ、温泉入れないよ」
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