再会は、健康診断で。

「うまくいってるといってるで毎日毎日かえちゃん、かえちゃんてうざい」


ため息をついた結城さんに、高倉さんが呆れた目を向ける。


「お前が言うな。千紗ちゃん、千紗ちゃんうるさかったくせに。俺、ノイローゼになりそうだったからな。家まで押しかけて来ない分、結城より平根のほうがマシだ」


どうやら痛いところをつかれたらしい、結城さんは黙って苦笑いをしている。


結城さんは絶対認めないと思うけど、俺と結城さんて似ているところがあるからな。まあ、俺はこの人みたいに腹黒くはないけどね。俺は直球、ストレート勝負だ。


「平根、まさかこの前みたいに無理矢理キスとかしてないだろうな」


高倉さんにいつもより低い声でジロリと睨まれて、俺はギクッとする。


これは疑われているな。まあ、あんなことしちゃったから仕方ないけどさ。


「してないっすよ。ぎゅうはしてるけど」


一回だけ無意識にしちゃった事実は、こっぴどく怒られそうだから内緒にしておこう。


知らなくていいことって、世の中にはあると思う。


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