再会は、健康診断で。

「なんで分かるんですか? マジ怖いっすね、結城さん」


軽く引いている俺に、結城さんが呆れた顔をして頭を叩いてくる。


「いてっ」


「バーカ、お前が分かりやすすぎるんだよ。俺じゃなくても分かるわ」


結城さんの言葉に、高倉さんと桐生課長も笑いながらうなずいている。


「まあ、仕事さえきっちりやってくれるなら俺はそれでいいけどな。じゃ、あとは頼んだ。よろしくな」


表情を緩めた桐生課長が、タバコの箱をポケットから取り出しながら作業場を出て行く。


「お疲れ様です」


その背中に声をかけると軽く手を上げて答えてくれた。


うーん、かっこいいなぁ。


桐生課長は若い男にはない魅力を持ってるわ。あれが妻帯者の余裕ってやつなのかね。


「じゃ、俺達も帰るな。さすがに疲れたわ」


「たしかに。あー、早く千紗に会いたい。寝ちゃってるだろうな。じゃあな、平根」


高倉さんと結城さんも俺の肩を高倉さんは優しく、結城さんは思いっきり叩いて作業場を出て行った。


< 24 / 240 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop